アラスカ・オーロラ紀行 (2005・2・4〜2・10)
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出発前準備
かねてから一度見てみたいと思っていたオーロラを見に行く決断をした。
それと言うのも、オーロラを何回も見に行っている友人が「オーロラを見に行くなら今年が良い」と教えてくれたからだ。
オーロラは、太陽活動に関連して放出される太陽風というプラズマ流と、地球の地磁気との相互作用により発生するもので、地磁気が集中する極点を中心とした環状の地域(緯度55度〜70度)にオーロラが発生し、この地域をオーロラゾーンと呼ばれている。
太陽活動は5年ほど前に黒点が爆発して活発になり太陽風が強くなり、その後5年くらいはオーロラが強く発生するそうだ。今年がその5年目にあたり、来年以降は衰退するだろうと言われている。太陽の活動は11年周期で活性化するそうだから、次のオーロラ観測のチャンスは6年後になりそうだ。
オーロラの観測地点としてよく知られているのは、北欧のフィンランド、カナダのイエローナイフ、アラスカのフェアバンクス等があるが、フェアバンクスが最も観測の可能性が高いのではないかと判断してアラスカに行くことに決めた。
オーロラ観測のポイントとしては、空気が澄んで晴れている事、人工の明かりが無い事などであるが、この点ではフェアーバンクスのチエナ温泉は条件が最もよいと考えたのである。
また温泉があり、露天風呂の中からオーロラが見られるかも知れないことがもう一つの魅力でもあった。
日程は新月に合わせて2月4日出発のコースを選んだ。
ただシアトル経由なので行程にかなりの無駄が生じる事になるが止むを得ない。
なにしろマイナス40度の世界なので、出発前の準備として、人間とカメラの防寒対策が必須だ。手袋、靴下は全て二重にして、色々なタイプの使い捨てカイロを準備した。カメラの方は、電池で作動するものは保温しなければ使い物にならなくなるので、電池の予備は当然のこと、カメラを覆う保温袋をキルティングの布で自作し、その中に木炭カイロを入れ、さらに使い捨てカイロを入れることにした。
使い捨てカイロだけでは低温の為全く反応せずすぐに硬く冷たくなってしまう。
デジカメはメーカーの説明によると、設計環境温度はマイナス10度位でそれ以下では保障できないとのことであった。フイルムはISO400,800,1600の感度のフイルムを準備し、状況によって使い分けることにした。
オーロラの場合非常に光量が弱いので露出の選択が難しい。そこで三脚にアダプターを取り付け、デジカメとフイルムカメラの2台を設置した。
デジカメで色々な条件で撮影し、最も適したシャッタースピードを選んでフイルムカメラで撮影することにした。
また、全て暗闇の中の操作なので、絞りやピントが動く可能性があるので、ピントは無限大に、絞りは開放にテープで固定し、後はシャッターボタンだけをレリーズで操作できるようにした。
2月4日
いよいよ準備万端整い、NW008便は定刻に成田を出発してシアトルへ着いた。シアトルでは約3時間半待ってアラスカ航空でアンカレッジ経由フェアバンクスへ現地時間の3時に到着した。横浜の自宅を出てから実に25時間もかかった。
途中、北米大陸の最高峰で、日本の偉大な探検家植村直己氏が夢を果たしえず行方不明になってしまった霊峰「マッキンレー」 が良く見えた。
フェアバンクスは快晴で気温はマイナス25度、さすがに寒い。息を一杯に吸い込むと肺の中が凍えそうになる。
空港からバスに乗ってツアーデスクで防寒着と防寒ブーツを借り出し、その後スーパーマーケットのフレッドメイヤーへ食料の買出しに行く。
水、ビール、果物、つまみ、パンなどを買い込んで、再びバスでフェアバンクスの北東150キロほど離れたチエナ温泉に着いたのはすっかり暗くなった夜の7時ごろであった。道路はチエナ温泉までで、これ以上は犬そりかスノーモービルしか交通の手段は無いそうだ。
「チエナ温泉」はフェアバンクス郡の一つの村の名前で、人口は70名位でその殆どはこのビレッジのスタッフだそうだ。
外気温度マイナス35度、実に寒い。息をするにも静かに空気を吸い込むようにしなければならない。
夕食後10時頃から近くの小高い丘の上にあるオーロラ観測ロッジで、オーロラが出るのを待つ。
北から東の空にかけて緑白色のオーロラが現われ、2時ごろまで絶え間なく見ることが出来た。
イメージしていたオーロラとは大分異なり、はじめて見たオーロラではあるが、それほどの感動は無い。
2時ごろ部屋に戻り風呂に入る前にビールを外に出しておいたのだが、30分ほどしてから取りにいったらもうシャーベット状になっていた。
エスキモーにも冷蔵庫が必要な理由が良く解った。
それにしてもアラスカの地ビールは旨い。
2月5日
11時から犬そりツアーに出かけた。
9頭のハスキー犬が曳く犬そりで、アラスカの白銀の原野を駆け抜ける爽快感は実に素晴らしい。
犬そりから帰って露天風呂に入ったが、この露天風呂が深く150cm位あり、背の低い人は背が届かないくらいだ。
源泉は70度だそうだが、何と言っても外気温がマイナス30度くらいなので、お湯の温度はちょうど良いくらいになっている。
しばらく入っていると髪の毛やまゆ毛やまつ毛に氷がつき真っ白になってしまい、いきなり白髪の老人になってしまったような感じだ。
風呂を上がって部屋に帰る途中、僅か5分くらいの間だが水着が凍ってぱりぱりになってしまった。
部屋に帰って地ビールを飲んで昼寝。
レストランでアラスカキングクラブの夕食後、外にでたら北の空にオーロラの兆候が出ていたので、今夜は期待できそうな予感がした。
夜10時に雪上車で山の上のオーロラ観測ロッジに出かけることにして、9時30分ごろ外に出たら、頭上の空一杯にオーロラが現われていた。
ゆらゆらと揺らめくオーロラはまさにイメージ通りであり、しばし我を忘れて見とれてしまった。100キロ上空の天上に輝く光のカーテンが風も無いのにゆらゆらと揺れている様は、まるで幻想の世界を見ている様であった。
雪上車の出発時間が迫っていたのでカメラをセットして写真を撮る時間が無く、またホテルの光などで写真撮影にはあまり適さなかったので写真は撮らなかった。
観測所に行けば充分に撮れると思っていたのだが、観測所に着くまで30分位かかり、着いた時にはオーロラは大分収縮してしまっていた。
通常オーロラの現われる時間は30分〜40分位だそうだ。残念・・・
頭上一杯に出るオーロラは写真に撮りづらく、雪の上に寝転がって見ているのが一番いい。又写真に撮ると目で見えなかった赤や緑の色が出て来る。
観測所の気温はおそらくマイナス40度位に下がっている事だろうが、興奮のためあまり寒さは感じなかった。
しかしカメラのフイルムを交換する時は、厚手のミトンを取って毛糸の手袋だけで行なわなければならないが、指先が凍えて痛くなってしまってうまくいかない。
3時ごろにホテルに帰り風呂に入って、ホット一息をつく。
2月6日
ゆっくりと寝て11時起床、昼食を兼ねた朝食を取り露天風呂へ。
今日は暖かくマイナス20度位である。このためか空には雲がかかっており、今夜のオーロラ観測が気になる。
3時過ぎから雪上車でサンセット観光ツアーに出かけたが、生憎の曇り空で素晴らしい夕焼けを見ることは出来なかった。
今夜のオーロラ観測は全天曇りなので山頂のオーロラ観測所へ出かけることはやめて、近くの小高い丘の上にある観測ロッジへ出かけた。
北から東の空にかけて薄いオーロラが見られたが、雲のせいでよく見ることが出来なかった。上空にもオーロラが現われているようだが、残念ながらぼんやりと雲の中が明るくなる程度で、昨夜のような素晴らしいオーロラを見ることは出来ず、1時過ぎに早めに退散する事にした。
白樺の枝全てに雪が凍りつき、それがライトアップされて素晴らしい光景を見せてくれている。
2月7日
朝の気温はマイナス20度、地元の人は「今日は暖かい」と言う。
我々も寒さに慣れてきたせいか、暖かく感じる。
今日は昼前にホテルを出てフェアバンクスへ移動する。雪道を65MPHの速度でバスが疾走する。時速100キロだ。日本では信じられない。
今日も全天曇りで、オーロラの観測が危ぶまれる。
スキーランドへのオーロラ観測ツアーは中止してホテルの裏から見ていたが、北の空を中心に西から東の空まで長いオーロラが現われた。しかし雲がかかっているためはっきりとしたカーテン状のオーロラは見ることが出来ずに残念だった。
2月8日
朝9時にホテルを出発して、フェアバンクスから11時の便でアンカレッジへ行く予定だったが、アンカレッジが雪のため飛行機が離発着できず、飛行機が飛んでこない。空港で待つ事5時間、ようやくフェアバンクスを出てアンカレッジに着いた時にはもうあたりは暗くなっており、その上雪が降り続いているためこの日の観光は全て中止となってしまった。
夕食のアラスカキングクラブの食べ放題でこの日の不満を多少解消した。
2月9日〜10日
早朝2時30分に起床してアンカレッジからシアトル経由で成田に向かう。
シアトルは晴天で気温は16度、日本の東京よりは暖かい。
シアトル発のNW007便は定刻に離陸し定刻の4時過ぎに成田に着いた。
アンカレッジのホテルを出てから19時間、ずいぶんの長旅であった。
フェアバンクスにはJALの臨時便が来ていたが、直行便だと半分以下の時間で帰ってこれるのだろう。
次は直行便を利用したいものだ。
今回のオーロラ紀行は、初めての経験であったが素晴らしいオーロラを見ることが出来大変満足であった。
素晴らしいオーロラの写真を撮ることが出来なかったのが残念だが、又行きたい気持ちが強い。